投稿

11月, 2022の投稿を表示しています

【ブリヤートのことわざ】ことわざに頻出する表現:故郷、家族、友情、労働…

 最近、シベリア留学してた女子院生(元シベリア留学してる女子大生)の完全な後継とはいえないものの、それに近い内容を発信するTwitterを始めました。 シベリアペンギン(@siberia_penguin)  このアカウントでは、ブリヤートのことわざを毎日つぶやくようにしています。自分のブリヤート語の勉強と、ブリヤートに興味を持つ人を増やす目的です。  さて、ブリヤートのことわざを調べるようになって、ネットで検索してすぐ見つかるくらい有名なものには以下の特徴があると感じています。それは、形式面では二行詩のような形式をとっていること、頭韻と脚韻を踏んでいること、一行目と二行目は意味の面で対立していること、そして内容面では故郷をテーマにした内容のものが多く存在することです。  自分の感じたこと(特に内容面)は果たして本当にブリヤートのことわざの特徴といえるのか。研究者の見解を知るためアマゾンの奥地…ではなくロシア関係研究者おなじみのCyberleninkaへ向かい、内容について分析している論文のうち比較的読みやすそうな一本に目を通してみました。  今回参照した論文はこちら。 С.Д. Гымпилова(2011) Критерии определения ценностей в бурятских пословицах, Вестник Бурятского государственного университета. Философия, Улан-Удэ. ※著者のS.D.Gympilovaはロシア科学アカデミーのシベリア支部モンゴル学・仏教学・チベット学研究所の文学・民俗学部の研究員(2011年時点)。  上記論文によると、ブリヤートのことわざに多く含まれている観念は故郷、社会的義務、勤労、家族、愛、友情等とのこと。これは自分の実感とも適合しています。  頻出ワードだと感じている「故郷」について書かれている段落を読むと、「『故郷』という概念も『他所』という二項対立的位置づけにより示される」とありました。確かに、論文でその例として挙げられたことわざ(私がTwitterで紹介したものでもあります)がまさにそうでした。 «Өөрын дайда дулаан, хариин дайда хүйтэн» ロシア語訳:Родная земля теплая, чужая

【記事翻訳】ロシア・中国のモンゴル系エスニック集団出身の若者対象の奨学金募集

イメージ
 つい数日前、ロシア出身ブリヤート人の友人がインスタグラムのストーリーに興味深い情報を投稿していました。CentralAsia.mediaという情報サイトでモンゴル系エスニック集団向けの奨学金情報が公開されたようで、それに関するスクリーンショットでした。私が改めてそのサイトを確認した11月21日23時台には、閲覧者数は2522人に上っていました。  この奨学金プログラム実施団体のエルベグドルジ研究所(EBI)は、エルベグドルジ元大統領の汎モンゴル主義的な思想を受け継いでか、全世界にいるモンゴル系の人を支援する活動を行っています。モンゴル系民族向けという括りの奨学金は以前からありましたが、このタイミングでの募集とこの閲覧者数に関してとても興味深く思ったので、翻訳して紹介します。間違い等あればご指摘お願いします。  また、もし周囲にこの奨学金の受給条件に当てはまりそうな人で、モンゴルの大学で学ぶことに興味を持つ人がいたら教えてあげてください。 出典: Объявлена ​​программа студенческих стипендий для этнических монголов в России и Китае ロシア及び中国に居住するモンゴル系の人々対象の奨学金プログラムの通知 モンゴル国、社会 2022年11月18日4:21  中央アジア(モンゴル) ―― エルベグドルジ研究所と世界モンゴル人連盟は、世界中のモンゴル系学生・若者がモンゴルで暮らし、学び、働くため、そして世界中のモンゴルの人々の調和と協力を強化し、モンゴルの言語、歴史、文化、そしてモンゴルの誇りを次世代へ伝えるために、モンゴル系の学生・若者を支援します。そのために、EBI及び世界モンゴル人連盟は学生奨学金プログラム「世界のモンゴル」について通知いたします。 奨学金対象範囲: 1.ロシア連邦:カルムイク共和国、ブリヤート共和国、トゥヴァ共和国、アルタイ共和国 2.中国北西部:青海モンゴル、新疆モンゴル、内モンゴル自治区の学生及び若者 3.世界情勢によりロシアからモンゴルに来た若者で、モンゴルで大学もしくは語学準備コースで学ぶ予定の者  上記地域・地区のモンゴル民族の学生・若者で、モンゴル国で学士課程若しくは修士課程に所属し、第3項目に当てはまる者には、授業料の一定割合の奨学金が支給されます。応募

【ニュース翻訳】モンゴルに避難したロシア国民の80%はビザ延長を希望(Zuuny medee紙 2022年11月15日)

 ロシア国民によるモンゴル及びその周辺国への国外避難は、ロシア・ウクライナ戦争が始まった2022年2月末から少しずつ始まっていました。9月21日にプーチン大統領が予備役の部分的動員令を発令すると、その当日の夜から今までとは比較にならない勢いでロシア国民が周辺国へ避難を始めました。  今回翻訳する新聞記事は、モンゴル国に避難したロシア人*の一部を対象とした調査の報告記事です。一時期モンゴルへの避難者は1万人を超えたともいわれており、それと比較するとこの調査のサンプル数は少ないですしどういった人を対象としたのかは分かりませんが、ロシアからの避難者のモンゴルにおける生活の一端を覗くことができます。 *本記事及び翻訳文における「ロシア人」は民族を問わずロシア国籍を持つ人のことを指しています。 元記事:Зууны мэдээ(ゾーニー・メデー)紙 1面 11月15日 ロシア国民の80%はビザ延長を希望  モンゴル商工会議所は、モンゴルに入国したロシア人旅行者の状況及びモンゴル国への経済的恩恵を明らかにする調査を行った。モンゴル国に入国した計426人のロシア人旅行者を旅行者を対象としたインターネット形式及び対面インタビュー形式による調査が実施された。調査対象者の29%は旅行、18%は就労、12%は就学目的で入国した。ロシア人はモンゴル滞在期間に1日161,600トゥグルグ(参考:日本円で6,600円くらい)の出費があるという。モンゴル国での滞在予定期間を尋ねると、28%はモンゴルに永住する予定と回答した。また、83%はビザ延長を希望している。 記者:B.Doljinjav